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2015年08月18日

美大生サキのコラム【其の二】 折箱制作を体験してきた①ー③まとめ

今回からは、第二回目のコラムとなります。

前回調べた折箱の情報をもとに

サキちゃんの折箱制作体験をお伝えいたします!

「其の二、折箱制作を体験してきた」というタイトルで全4回の記事を配信してゆきます。

初めから見たい方。【其の一】 折箱!を調べてみたも合わせてどうぞ


折箱制作体験をしてきました!
みなさんこんにちは、片田です。
今回は折勝商店さんの現場に突入し、なんと、折箱を制作させていただきました!
ほとんど手作業で、工場長さんに丁寧に教えてもらいながら制作。
今回は自分でカタチや大きさを決められるように、サンプルをつくる要領で制作します。
ひとつひとつの工程を説明してもらい確認しながらやったので、今回はその制作の流れを画像とともに掲載していきたいと思います!
まずは作業する前にお勉強。
一体どんな流れで折箱は作られているのでしょうか?
石山先生(社長)に教えてもらいます。
サキ其の二①-1
今日の社長は夏らしく爽やかです。
直筆のホワイトボードの説明がこちら↓
サキ其の二①-2
これをこちらでもう一度整理してまとめてみます。
通常、工場で作られている折箱は
【材料の手配】→【カタメ(のり付け)】→【底付け】→【結束】→【包装】
という流れです。(ホワイトボードの右側の流れ)
この材料の手配とは、もう既に大きさが決められているもので、規格サイズで北海道の工場から送られてくるものを使うそうです。
ですが今回は、「せっかくならオリジナルで作ってみたい!」ということもあり、
もちろん制作の流れをじっくり理解したいということもあり、【材料の手配】からさせていただくことになったのです。
材料の選定とは
【サイズ決め】→【材料選定】→【ガリ取り(折るための溝を入れる)】→【オトシ(高さを決める部分を切る)】
という流れで行ないます。
もっと本当は細かく工程がさらに分かれていたりするのですが、それはこれから画像とともに一緒に見ていこうと思います。
というわけで、まずは早速【サイズ決め】!!
どんな大きさのものを作るか考えます。
どうせならちゃんと使うものが欲しいよね、ということで、用途を考えてからサイズを決めます。
うーん、これがなかなか難しい……
化粧品を入れる?小物入れ?ペン立て?洗面台周りの備品入れ?
なかなかなにが欲しいかと聞かれるとパッとは思い浮かばないものです……
しばらく悩んだのちに、「そうだ、一輪挿しを作ろう!」と思いつきました。
一輪挿しの花瓶は持っていないけど、長めの折箱を作って中にジャムの瓶とかを入れて見えないようにすれば、折箱の綺麗な一輪挿しができるのではないか?
そう考えて早速サイズを決めます。
ここら辺でわくわくしてきます。
サイズは大体内寸が幅65mm×奥行き65mm×高さ93mmにしました。(93mmが作れる高さの限界スレスレのようです。)
これは内寸なので、外寸を考えなければなりません。
折箱の板の厚みは大体2mmほど。箱なので向かい合って2面あります。
先ほどの内寸とあわせると、外寸は幅69mm×奥行き69mm×高さ94mm(底は1mmほど)と計算できました。
何とも中途半端な数字になってしまいました(笑)
これも手作りならではですね。
よくわからないので図で見ましょう。
サキ其の二①-3
完成予想図が上の図。こんなサイズ感です。
下のはこれを組む前の板のサイズ。
点線の部分で折って箱の枠にしていきます。
ちなみにこの23mmという部分は「ベロ」と呼ばれる部分です。
上の図でいう、ちょこっと重なった部分。
ここを糊で貼るわけです。
なのでその分も忘れずに寸法に含めます。
これでサイズが決まりました!
次は【材料選定】です!
【材料選定】では、前のセクションで決めた寸法に切り出せるように、ちょうどいい大きさの木を選びます。
既に様々な大きさの板があります。
その板によって模様や色などももちろん違います!
今回は横1尺5寸(460mm)、縦3寸5分(105mm)の板を選びました。
299mm×94mmが十分に切り出せる大きさですね。
ちなみに実際商品として出されている折箱は、ここでの材料選定で「目の粗さ」「色味」などで等級が分かれるそうです。
材料を選定する工場長の目はさすがプロのもので、じっくりと選んでくれました。
サキ其の二①-4
どれがいいかな……。
この写真をみても、木目の荒さや色、木目の方向なども違いますね。
ここでは良さそうなものを3枚ほど選びました。
さて、今回はここまで。
次回は、選定が済んだ後の板の底や側面などを「自動カンナ」で平に滑らかにします。
刃がついている大きい機械を扱うのは不安ですが、頑張ります!
サキでした。
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折箱制作体験をしてきました!その②
みなさん今回もこんにちは、片田です。
今回も折勝商店さんの現場で、折箱を制作させていただいています!
ほとんど手作業で、工場長さんに丁寧に教えてもらいながら制作。
前回までは材料の選定がベースでしたが、今回からは本格的に機械を触らせて頂いての制作です。
ひとつひとつの工程を説明してもらい確認しながらやったので、
今回もその制作の流れを画像とともに掲載していきたいと思います!
 さて、選定が済んだら板の底や側面などを平に滑らかにします。
ギザギザしてたりぼこぼこしていたりすると正確な大きさが測れないそうです。
なので、まずは底を滑らかにするために「自動カンナ」なる機械を使います!
カンナがけというのは聞いたことがありますが、機械としてやってくれるカンナは初めて見ました。
もちろん自動とは言っても置いておけば勝手にやってくれるわけではありません。
こんな感じで 
其の二―② 1
歯が回ってくれるので、板をしっかり持って歯の部分に滑らせていきます。
ここもしっかり垂直に持たないと切り口が斜めになってしまうので注意が必要です。
慎重に手早く2〜3回ほど通すと

其の二―② 2

こんな感じで滑らかな断面になってくれます!

心無しか光っているように感じるくらい素敵な断面……。(笑)
触ってもトゲも刺さらないしサラサラ滑らかな手触りです。

次は側面を平にします。
というのも、この折箱に使う板は2枚の薄い板が貼付けられて1枚になっているのです。
なので側面の部分はキレイにまっすぐ張り合わせられてなかったりするんですね。
なのでキレイに平にするために、カンナではなく、断裁機というものを使ってカットしていきます。

其の二―② 3

 
こんな機械で
 
其の二―② 4

ガション!といきます。

これ手なんか入れたらたまったものじゃないんですが、切るためには両手で台の下のレバーを押すので事故はなさそうです。
簡単にキレイに切れるので、快☆感(笑)

では次の工程【ガリ取り】に移ります。
ここら辺から折箱らしくなってきますよー!

ガリ取りとは、彫刻刀のようなもので、板を折るための溝を入れていきます。
先ほどの設計図(とまでは言えない簡単なもの)の下の図でいう点線部をガリ取りしていきます。
ガリ取りすることによって折ったときに綺麗な直角ができるのですね。
使う道具はこれです。

 
 其の二―② 5
 完全自動ではないんです。
ひとつひとつ自分で溝を入れていくんです。
そのための工程として、まず溝を均等に入れるためにネジの調整をします。
この工程がなんだかすっごく大事です。
1mmでも、いや、0.5mmでもずれると綺麗なカタチの箱になりません。
今回私が作ろうとした箱は特に慎重にやらねばならなかったのです。
というのも、縦横の長さが一緒なので、綺麗な正方形にならなければいけないのです。
 其の二―② 6n
こんな感じでネジをとめていくのですが、もうこれ何回もやりなおしています(笑)
しかもあろうことか、私が設定した外寸が69mm。
分かりづらすぎる……!!!
「ちょっとずれちゃったけど形にはなるしまあいっかー!」が許されない世界です。
地味に見えて大事な工程なんですね、苦戦したぁ……。

其の二―② 6

そうしたらこのように板をセットして

其の二―② 7

このレバーを一気に下に引きます!!!
結構力がいる作業です。
大丈夫かな……とか言っておそるおそるやってると全然うまくいきません。
しっかり押さえて勢いよく下に引きます!
少し固いので、もたもたしてると途中でひっかかってしまったりずれたりしてしまいます。
わたしもいくつかやってしまいました(笑)
これがキレイに引けるときれいな箱の角ができます。
1枚につき、計4本ガリ取りをしました。

其の二―② 8

こんな感じになります。
キレイに溝が入りました。

この後はガリ取りで生じたケバケバ(上の図の溝の左にちょろっと出てるのがわかるかしら)を
無くすために自動カンナで滑らかにします。

では今回はここまで。

次回は 【オトシ】 の作業です。

【材料の手配】の中の一番最後の工程です。
機械が板を巻き込むので少し、怖いけれど頑張ります!

サキでした。

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折箱制作体験をしてきました!その③

 みなさん今回もこんにちは、片田です。

折箱制作も前回のガリ入れまでやってきました。

今回からは、【オトシ】の作業です。
【材料の手配】の中の一番最後の工程です。

オトシでは、板を箱にしたときに高さ94mmになるようにカットします。
縦3寸5分(105mm)の板を使ったので、カンナなどで少々削ったとは言え、まだだいぶ大きいです。

この時に使うのが、

其の二③-1

其の二③-オトシ

こういう機械です。
見えづらくてすいません……!
写真のこの位置から、すこーし左(写真で言うと手前)にずらすと、ぴゅんっと機械が板を巻き込んであっという間にカットしてくれます。
最初はビビるし少し怖い(笑)
長さを最初に決めて設定するので、あっというまに3枚とも切ってしまいました。

其の二③-2

其の二③-材料の手配

そしてこれが最終形態です!
これで箱の側面の部分が完成しました。
これらの工程がすべて【材料の手配】です。
素人がやってもここまでキレイにできるもんです!
なんとも言えない充実感……。

さて、側面を作っただけでは箱にはなりません。
ここから箱にしていきましょう!

まずは【カタメ】という作業。
これはのり付けという意味です。
のりで固めるからカタメって覚えてねって石山社長に教えてもらいました。

貼るときに使用するのが、食品用の糊と両面テープです。

其の二③-3

其の二③-食品用のノリと両面テープ

ぬりぬり、はりはり。

で、溝で折ってキレイに貼付けて、

其の二③-4

其の二③-箱側面の完成

箱の側面完成です!
実はカットした余りももったいないので小さな箱を作ってしまおうと同時進行で作業していました(笑)
思いがけず2種類できてお得な気分。ほくほく。
ここまでくると箱っぽくなってきますね!

では次は【底付け】をしていきます。
これは読んだまんま、箱の底を作って貼付けるのです。

底の寸法は69mm×69mmなので、先ほどの断裁機を使って底の大きさにカットし、用意。
箱は6個作られているので、6枚必要です。

其の二③-5

其の二③-裁断機でのカット1

其の二③-6

其の二③-裁断機でのカット2

この底は大きすぎても小さすぎてもいけません。
大きすぎたら枠からはみ出してしまって不格好になってしまうし、小さすぎるとはがれやすくなったり隙間が空いてしまったりしてしまいます。
丁寧に見ながら豪快にバッサリカットしていきました。

さて、底が出来上がったら先に作っていた枠にくっつけましょう。
ここで使うのは糊です。
枠の方に薄く糊をつけ、底をつける感じです。
本来でしたらベルトコンベアーみたいな機械で糊をつけていくのですが、今回は高さがある箱をつくるので手作業でつけていきます。

其の二③-7

其の二③-薄くノリづけ

枠の方を糊に乗せる感じでぺちょぺちょ付けて

其の二③-8

其の二③-ノリづけのコツ

まんべんなく薄くついたか確認し

其の二③-9

其の二③-ノリづけ確認

横にしながら既にセットした蓋にくっつける!

ずれないように気をつけながら、ふたと枠を交互にセットして順番に付けていきます。

これで出来上がりです!
あとは【結束】して糊が完全に乾くまで動かさずに放置です。
だいたい1時間〜2時間と言われました。

【完成】ーーーーー!

其の二③-10

其の二③-完成

これで折箱体験終了です!
大体これで3時間ほどでした!
本来の大きさの箱が3つ、その半分くらいの高さの箱が3つ、計6つも作れちゃいました。
この折箱体験、すっごくたのしかったです。
ひとつひとつの工程を本当に丁寧に教えていただきました。
思いのほか繊細な動作を求められる工程が多く、これが職人かー!と納得。
でも豪快にやるときゃやる。うーん日本っぽい(笑)
3時間は手頃な時間だし、子どもとか外国人とかすごく好きそう。
できあがった箱にはレーザーで印字もできるそうで、世界にひとつだけの自分だけの箱が作れちゃいますね!

もちろん自分で初めて作った折箱にはとても愛着がわきます。
いやー、改めてこれが普段捨てられてしまう食品容器だと思うともったいない気がしてしまいます……。
どうにかならないかなぁ。どうにかなるように考えるのがわたしの卒業制作のミッションなんだよなぁ。(笑)

というわけで、今回の折箱制作体験を踏まえて、アイディエーションやプロトタイプ制作に頑張って取り組んでいきたいと思います!
ご協力いただいたみなさまありがとうございました!!

次回はおまけ編をお届けしてから、市場調査編に突入いたします。

まだまだ知らないことがたくさんあって発見にあふれています。

楽しみにしていてくださいね!


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